昔から分娩の痛みを和らげる為に薬物の内服や、大量にアルコールを飲むなど様々な方法が行われていました。
歴史的には1846年にエーテル(吸入麻酔薬)を用いた手術の為の麻酔が開発され、そのわずか3ヶ月後から吸入
麻酔による無痛分娩が行われています。その後1853年にイギリスのビクトリア女王がクロロホルム(吸入麻酔薬)
による無痛分娩を行った事などにより、欧米を中心に無痛分娩が広まりました。
しかし麻酔ガスを用いた吸入麻酔による無痛分娩では母体の安全性に問題があり、胎児への影響も避けられませんでした。
1940年頃より持続硬膜外麻酔を用いた無痛分娩が行われるようになり、母体の安全性は飛躍的に向上し、胎児への
影響もほとんど無くなりました。
しかし局部麻酔薬のみを用いた硬膜外麻酔による無痛分娩では充分に鎮痛を行うと、おなかや脚に力が入らず十分
にいきむ事が出来なくなるという問題点が残されていました。現在世界中で広く行われているのは低濃度の局部麻酔薬
と少量の麻薬をもちいた硬膜外麻酔による無痛分娩です。この方法は@安全性が高くA赤ちゃんへの影響がほとんど無く
B分娩経過への影響も非常に少ない無痛分娩の方法です。脊髄くも膜下麻酔併用硬膜外麻酔(CSEA)
による無痛分娩が開発され、さらに早く確実に痛みを取る事が可能になりました。
当院では無痛分娩をご希望の方に対し周産期専門の麻酔科医(日本麻酔科学会専門医、指導医)が硬膜外麻酔または
脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔法を用いた無痛分娩を行っています。無痛分娩とは特殊な分娩方法ではありません、お産
自体は自然な経過で分娩の痛みを麻酔により減らす事を無痛分娩と呼んでいます。知らない間に赤ちゃんが生まれてしまう
のではなく、陣痛や出産の痛みを取り除いた状態でお母さん自身が十分にいきんで出産します。
このような麻酔を用いた分娩は特殊な方法ではなく欧米をはじめアジア諸国(シンガポール、香港、台湾、マレーシア)
等で広く一般的に行われている方法です。ほとんどの国では無痛分娩の麻酔は麻酔科医が行うことにより安全に
行われています。
無痛分娩ご希望の方、無痛分娩するかどうか悩んでいる方、前回の分娩が大変だった方、出産の痛みが心配な方、
麻酔について詳しい話をお聞きになりたい方などお気軽に当院の麻酔科外来にご相談ください。