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不妊症の原因

 

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女性のからだは変化している

女性のからだは変化しているからだは変化している

不妊治療は、なぜ妊娠できないのか、その原因を調べることからスタートします。原因がわかれば、治療も効率よく進めることができるからです。
患者さんが初めて不妊の相談で訪れた場合はもちろんですが、これまで他の病院やクリニックで治療を受けていた人にも、これまでの検査や治療の経緯を聞きながら、基本的な検査をもう一度行ないます。
なかには、「先生、その検査は前の病院でも受けました」といって受けたがらない人もいますが、検査というのは、やり方しだいで結果も変わってきます。また、からだの中の状態は少しずつ変化しているので、以前に検査を受けた時と同じ状態とは限らないからです。 たとえば、前の病院ではどうしても妊娠できなかった人が、私のクリニックに来るようになってから1回のタイミング療法で赤ちゃんができたケースもあります。
このような場合は、以前から受けていた治療のおかげで卵巣機能が改善され、子宮の状態も良くなっていたと考えられます。そのような良い条件の上に、私が処方したホルモン剤の組み合わせや、排卵日の特定などがピタリと合ったのでしょう。つまり、妊娠に必要な条件は刻々と変わっているため、新しい治療を開始するにあたって、基本的検査によって把握することは必要不可欠なのです。
基本的検査から得られる情報はさまざまで、その人のからだの状態や体質を的確に把握するためにとても重要です。
また検査結果や数値から何をどう読み取るか、判断するかは医師の技量にも大きく関わっています。医師はこれまでの経験に基づき、最新の情報や報告などを組み合わせて診断し、もっとも効果があると思われる治療法を考えていくのです。

不妊治療はパートナーと心を合わせて

不妊治療はパートナーと心を合わせて

最近は、男性に不妊原因があることも増えているため、精子の状態や性機能を調べる必要があるケースもあります。
ところが、「次回はご主人と一緒に来てください」とお伝えしても、なかなか来たがらない男性もいます。男性はとてもナイーブですから、もし自分に原因があったらという恐怖感もあるのでしょう。
そのようなときは、検査結果の数値を示しながら男性への説明のしかたをアドバイスすることもあります。
「先日のフーナーテスト(91ページ参照)の結果が悪かったので、ご主人の精子を調べる必要があります。ただし、必ずしも精子が悪いというわけでもありません。たまたまた体調が悪かったことも考えられますし、疲れていただけかもしれません。1回の検査では正確な診断はできないので、やはり一度、ご主人にも来ていただいたほうがいいと思います。そうご主人に伝えてください」
一度、来れば、もう大丈夫。夫婦の信頼関係ができていれば、男性も協力を惜しまないものです。検査結果を示し、このような治療をすれば改善できます、妊娠の可能性はグンと高まりますとエビデンス(医学的根拠)に基づいてきちんと説明すると納得してくれます。
自分が努力すればふたりの赤ちゃんが生まれる可能性があるのだということがわかると、驚くほど治療に積極的になる方もいます。
精子の状態が悪くなる原因としては精巣や精管にトラブルがある場合もありますが、生活習慣を見直すだけで改善するケースも少なくありません。睡眠や休養を十分にとり、からだを休めるように心がけるだけで、精子の数が増えたり、運動率が驚くほどよくなることも少なくありません。また、漢方薬で体質を改善することで、精子の状態をよくすることもできます。
検査結果が良くなると、男性の目も輝いてきます。ふたりで笑顔でうなずきあっているのをみると、ああ、このふたりを一日も早くお父さん、お母さんにさせてあげたいと、私もますます治療に熱が入ります。
治療のプロセスを通じて、二人の心がピタリと合わさり、ますます夫婦仲がよくなっていくのを見るのはじつにうれしいものです。妊娠はカップルふたりの努力があってはじめて実現することを知っていただくことが、私たち不妊治療専門医の役目であるとつくづく思います。
そのため当院では定期的に「二人で聞く 赤ちゃんがほしい教室」を開いています。これから治療を始めたいというカップル、一日も早く赤ちゃんがほしい治療中のカップルなど、毎回何組ものカップルが参加しています。教室の開催日は当クリニックのホームページで随時情報を掲載しています。

妊娠の不思議なメカニズム

ここで、妊娠のメカニズムを説明しておくことにしましょう。
妊娠、出産は実に複雑なメカニズムの中で進んでいくことがわかれば、どのような状態になると妊娠しにくくなるかということも理解できると思います。
自然な状態で妊娠するためには、十分に成熟した卵(卵子)と、卵のところまで移動していくことができる運動性の高い精子が必要不可欠です。
そのために女性に備わっている生殖器官は卵巣、卵管、子宮、膣などで、男性には精子をつくる精巣(睾丸)や、精子に運動エネルギーを与える前立腺、女性の膣内に精子を送りこむためのペニスなどの生殖器官が備わっています。
卵巣の中で成熟した卵は1カ月に1個、排卵され、卵管の中に入ります。射精された精子は子宮頸管をくぐりぬけて子宮内に入り、上方へと泳ぎ、卵管に入ることができると、卵管の中で待っている卵と出会い、卵の中に入りこむことができると「受精」が成立します。
受精卵は、分割を繰り返しながら約3日かけて子宮に下りていき、フカフカした子宮内膜に着床します。こうして「妊娠」が成立するのです。 もちろんまだ安心はできません。順調に育つことができなければ自然と死滅したり、はがれて落ちて体外に流れ出てしまいます。「流産」してしまうわけです。
このように妊娠はとても複雑なメカニズムで、これらのプロセスのどこかにトラブルがあった場合はうまく妊娠することができません。あるいは妊娠したとしても胎児が育ちません。何度、妊娠しても流産をくり返すということになってしまいます。
女性は、母親の胎内にいるときから、卵巣の中で原始卵胞と呼ばれる「卵のタネ」がつくられます。生まれたばかりの女の赤ちゃんの卵巣内には数百万個の原始卵胞があるといわれていて、成長とともに少しずつ減っていき、初潮を迎えるころには3~5万個になっています。さらに自然淘汰は続き、50歳前後の閉経までに実際に排卵される卵は400~500個ほどです。
卵巣は子宮をはさんで左右二つあり、原始卵胞が約4ヵ月かけて成熟卵胞に育ちます。そして毎月1回、左右どちらか一方の卵巣(原則的には左右交互に)から卵が飛び出します。これが「排卵」です。
もっとも大きく成熟し、排卵する卵胞は「主席卵胞」と呼ばれます。昔は学校でいちばん学業ができる人は「首席」といわれたり、政治の世界でも共産国では国家のリーダーを「主席」と称していますが、同じような意味と考えてください。面白い呼び方ですが、イメージはよくわかると思います。

卵の寿命はわずか1日しかない

卵巣から腹腔内に排卵された卵は、卵管の先端にある卵管采に取りこまれます。卵管采はヒラヒラした花びらのようなかたちをしていて、まるで卵をつかみ取るように卵管の中に入れるので、このことを「卵のピックアップ」と呼んでいます。
卵管内にピックアップされた卵は、卵管采の奥にある卵管膨大部(卵管がいちばん太くなっている部分)で精子を待ちます。あるいは、すでに精子が卵管膨大部まできていることもあります。
どちらが先に卵管膨大部に到着するかは、排卵と性交のタイミングにかかっていると考えてください。
卵の寿命は約1日。精子の寿命は約3日。この短い時間の中で卵と精子がタイミングよく出会うことができれば受精の可能性があるというわけです。
不妊治療の基本とされるタイミング法は、女性の体内のホルモンバランスを調べて卵胞の成熟状態や排卵日を予測し、1日しかない卵の寿命に合わせて性交をして精子を送りこむ方法です。「タイミング法」と呼ばれる意味がよくわかると思います。
ところが、この「タイミングを合わせる」ことは簡単なようでなかなかむずかしいのです。
患者さんたちは、「排卵日に合わせてセックスをしています」とおっしゃいますが、排卵日の判断もおおまかだったり、卵の寿命は1日しかないことを知らない方もたくさんいます。
そのため本人たちは排卵に合わせて性交しているつもりなのですが、じつは卵と精子との出会いの瞬間がピタリと合っていない場合が多いのです。その結果、思うように妊娠できないでいるといっていいでしょう。

性ホルモンの絶妙な連携プレー

「ホルモンのバランスを調べてタイミングをはかる」と書きましたが、卵巣、卵管、子宮の連携プレーを支えているのは、脳や卵巣から分泌されるホルモンの働きです。
人間の体内では数多くのホルモンが分泌されていますが、妊娠に関わるホルモンは「性ホルモン」と呼ばれます。
性ホルモンにはこれから説明していくようにいくつもの種類がありますが、精妙なホルモンの流れのスタート合図をする役目をしているのは間脳の視床下部から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)というホルモンです。
ゴナドトロピン放出ホルモンは「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」とも呼ばれています。「ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)」とは、視床下部に隣接した下垂体(脳下垂体)から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の2つのホルモンのことです。視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが分泌されると、その刺激を受けて下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。
FSHが血液に入って卵巣に運ばれると、卵巣内の卵胞の成熟が進み、成熟した卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン=E)が分泌されます。エストロゲンは別名「女性ホルモン」と呼ばれることからもわかるように、妊娠においてもさまざまな重要な働きをしています 卵胞が成熟すると、下垂体からもう一つのゴナドトロピンである黄体化ホルモン(LH)が分泌されてきます。LHの役目は排卵を起こさせることです。LHの刺激によってもっとも大きく成熟した卵胞(主席卵胞)が自然に破裂し、卵が卵巣の外へ飛び出します。
排卵したあとの卵胞や、排卵しなかった卵胞(主席卵胞以外の卵胞)は卵巣内で自然としぼんでいきます。しぼんだ卵胞は「黄体」と呼ばれ、この黄体から黄体ホルモン(プロゲステロン=P)が分泌されてきます。
黄体ホルモンの働きは、子宮内膜を厚く、やわらかくさせて受精卵が着床しやすくすることです。排卵が起こると同時に、妊娠に備えて子宮の状態を整えるのが黄体化ホルモンの役割と考えるといいでしょう。
さて、卵巣から排卵された卵は、卵管采によってピックアップされて卵管内に入ります。そして、卵管膨大部で運よく精子と出会い、受精することができると、ゆっくりと子宮の中に下りていきます。
受精卵が無事に子宮内膜に着床して妊娠すると、卵巣からの黄体ホルモン分泌量はさらに増え、子宮内膜はフカフカの状態に保たれ、胎児のベッドになります。
もし妊娠しなかった場合は、黄体は固く萎縮して白体となり、黄体ホルモンの分泌も少なくなります。やがて厚くなっていた子宮内膜は自然とはがれ落ち、体外に排出されます。これが月経です。
月経が起こると、間脳の下垂体から再びゴナドトロピン放出ホルモンが分泌され、卵胞刺激ホルモン、卵胞ホルモン、黄体化ホルモン、黄体ホルモンなどの分泌が連鎖的に起こり、次の排卵へと準備が進んでいきます。
これが女性の排卵サイクル、月経周期です。
じつに複雑で精妙なホルモンの連携プレーでコントロールされていることがよくおわかりいただけると思います。

受精できる精子はラッキー

精子と卵はどのように出会い、どのように受精卵ができるかをもう少し詳しく見てみることにしましょう。
精巣(睾丸)でつくられた精子は、前立腺やカウパー腺などの分泌液と混ざりあって精液となります。
精子は、頭部、体部、尾部から成っていて、頭部にDNA(遺伝子)が入った細胞核があります。体部にはミトコンドリアが凝縮されていて、ここでつくられるエネルギーによって尾を動かし、ひたすら卵とのドッキングをめざすのです。
1回の射精で放出される精子の数はおよそ数億。まず最初の関門は子宮の入り口である子宮頸管です。子宮頸管をくぐり抜けるのに成功した精子は、子宮内膜にそって上行し、卵との出会いの場である卵管膨大部へと向かいます。
こうして卵の周囲までたどりつける精子は数百ほどといわれています。なんと100万分の1の割合でしかありません。だからこそ、自然妊娠のためには精子の数が十分にあることが必要なのです。
卵子は透明で固い殻(透明帯)に包まれていて、さらに周囲を何層もの卵丘細胞でガードされています。受精するのはたった1個の精子。 卵子にたどりついた数百の精子は卵子の周囲にとりついて卵丘細胞をくずしていきます。ようやく透明帯が出てくると、精子は頭部から出る酵素で透明帯に穴をあけていきます。やがて透明帯に穴があき、1個の精子がタイミングよく卵の中に突入した瞬間、透明帯の穴はふさがり、他の精子は進入不可能となります。
これが受精の瞬間です。受精できた精子は、パワフルな精子であると同時にラッキーな精子であるということもできます。多くの精子の共同作業の結果、透明帯を突破して卵の中に入ることができたからです。
受精した卵の中では、卵子のDNAと精子のDNAとが合体し、受精卵となります。受精卵は2分割、4分割と細胞分割しながら卵管の中を子宮に向かって少しずつ移動していき、受精からおよそ5日目に子宮内膜の上に達します。
このころになると卵胞ホルモンや黄体ホルモンの作用によって子宮内膜は厚くやわらかくなり、着床しやすくなっているというわけです。 子宮内膜上に達した受精卵は硬い透明帯から出て、子宮内膜の細胞と結合を始めます。これが「着床」で、着床したことで「妊娠」は成立するのです。
卵胞の成熟、排卵、卵管へのピックアップ、受精、着床という驚くほど精妙な妊娠のプロセスのどこか一か所でトラブルが起こっても次の段階へ進めないために妊娠できなくなるのです。
したがって、不妊治療は、どの部分にトラブルがあるのか、どの段階で妊娠のプロセスが止まってしまうのかをつきとめることが重要になってきます。
「不妊原因」を知ることで治療のしかたも治療の時期も変わってくるからです。
ただし、検査によって原因が明らかにならないこともあります。そのような場合は、いろいろな方法を試しながら治療を進めていくことになります。治療の段階で原因が明らかになることも多いので、ふたりが心を合わせて一歩一歩、ふたりの赤ちゃん誕生に向かって進んでいくことが大切です。
次ページから、女性、男性それぞれにどのような不妊原因があるかお話することにしましょう。

女性の不妊原因

妊娠が成立するためのプロセスを大きく分けると、①排卵、②受精、③着床、の3段階に分けることができます。 この3つの段階のどこに障害があるかが問題ですが、障害は一つである場合も、いくつかの障害が重なっていることもあります。 一つひとつ見ていくことにします。

排卵障害

卵巣の中で卵胞が育たなかったり、卵巣の外へ卵を排卵できない状態です。
多くの場合、排卵に関与しているホルモンの分泌量が少なかったり、バランスが悪いことが原因と考えられます。
卵胞の発育や排卵をコントロールするホルモンは、脳中枢(視床下部や下垂体)と卵巣から分泌される2系統があります。
脳中枢から分泌されるホルモンはゴナドトロピン放出ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモンです。視床下部は、自律神経のコントロールをはじめ、さまざまな生命維持機能のコントロールセンターでもあるため、精神的なストレス、過労、睡眠不足のほか、無理なダイエットなどによって働きが低下すると、ホルモン異常の引き金となる可能性があります。
卵胞の成熟や排卵がスムーズにいかなくなると生理不順や無排卵、無月経になり、こうなると当然のことながら妊娠できなくなります。

●高プロラクチン血症
プロラクチンは出産後に乳汁の分泌を促すホルモンです。妊娠すると自然に乳房が大きくなり、お乳が出るようになるのはプロラクチンというホルモンの働きです。
脳の下垂体から分泌されるこのホルモンは排卵や月経を抑える働きをもっています。授乳している間に次の妊娠をすると母体に負担がかかるため、できるだけ排卵を抑えて妊娠しにくくしているのです。そのため母乳をあげなくなるとプロラクチンの分泌が止まり、排卵が始まり、自然に次の妊娠ができるようになります。
過度なストレスが続いたり、抗うつ剤などを服用していると下垂体のホルモンコントロールが乱れ、妊娠や出産をしていないのにプロラクチンが分泌されてしまうケースがあります。また、下垂体に腫瘍(プロラクチノーマ)ができてプロラクチン分泌が起こることもあります。 血液中のプロラクチン量が増えるために「高プロラクチン血症」と呼ばれ、妊娠していないのにお乳が出たり、胸が張るという症状があらわれます。
血液検査で高プロラクチン症と診断した場合は、プロラクチンの分泌を抑える薬で治療をします。

●多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
毎月、排卵する成熟卵胞は1個で、排卵が起こるとそれまで発育していた卵胞は自然にしぼんで黄体や白体となり、消えていきます。ところが消滅しないで袋状の嚢胞をつくって卵巣内に残ってしまう卵胞があると、卵巣がしだいに肥大、肥厚化していきます。このような状態は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と呼ばれ、成熟卵胞が育たず、月経が不順になり、排卵が起こりにくくなります。

●黄体化未破裂卵胞
卵巣内で卵胞が十分に成熟しているのに、卵胞が破裂しないために排卵が起こらない状態です。破裂しなかった卵胞はそのまま黄体となって黄体ホルモンが分泌されるため、基礎体温は上昇します。 基礎体温は低温相と高温相とに分かれる二相性を示すため排卵が起こっていると考えてしまいますが、実は無排卵状態であるということになります。 片方の卵巣だけが黄体化未破裂卵胞になると、1ヵ月おきに排卵と無排卵が起こるケースもあります。通常、左右2つの卵巣が交互に排卵するためです。

●卵巣嚢腫
卵巣の内部に血液や粘液、水分、皮脂などがたまり、卵巣が腫れる病気です。
子宮内膜症が卵巣内で起こり、卵巣の中に古い血液がたまると「チョコレート嚢腫」と呼ばれ、排卵障害の原因となります。

受精障害

受精がうまくいかない理由には、卵子の要因、精子の要因、受精の場である卵管の要因が関わっています。
ここでは、卵子の要因と卵管の要因について説明します。

●卵の未熟
排卵された卵(卵子)には、受精卵として成長するには未熟なものがあります。このような未熟な卵は、受精後の細胞分割が途中で止まってしまい、子宮に着床する前に死んでしまうため妊娠することができません。

●卵子の透明帯異常
卵は、周囲を透明帯という硬いバリアで守られています。さらにその周囲に卵丘細胞が何層にもなって卵子を保護しています。
この透明帯が異常に硬く、どんなに元気な精子でも突破することができないことがあります。このような現象があることは、不妊治療として顕微授精が行なわれるようになって明らかになりました。

●卵管閉塞・卵管狭窄
卵管の直径は0・5 ほどで、シャープペンシルの芯ほどの細さです。この細い卵管が詰まっていたり(閉塞)、内腔が狭くなって(狭窄)通過障害が起こると、精子は卵が待つ卵管膨大部へ行くことができなくなります。 また、精子はうまく通過して受精できても、受精卵は精子に比べてずっと大きいため途中で詰まってしまい、子宮へ到達することができず、不妊の原因となります。 ただし、卵管は左右2本あるので、どちらか一方に通過障害が起きても、もう一方が正常であれば妊娠する可能性はおおいにあります。 卵管の閉塞や狭窄が起こる原因として多いのが、最近とくに増えているクラミジアなどの性感染症や子宮内膜症です。 クラミジア感染症によって卵管粘膜に炎症が起こると、内腔が癒着して閉塞してしまいます。また、子宮内膜組織が卵管内にできると通過障害が起こり、妊娠しにくくなります。 排卵された卵をピックアップする卵管采にクラミジア感染症や子宮内膜症によって癒着が起こると、どんなに良好な卵が排卵されても卵管内に取りこむことができないため自然妊娠は不可能になります。 精子が原因の受精障害、あるいは卵子と精子の両方が関係している受精障害についてはこのあとのページで説明することにします。

着床障害

受精卵は、卵管内で細胞分割をくりかえしながら5日間ほどかけて子宮の中に入り、子宮内膜に着床します。
ちょうどその頃になると卵胞ホルモンや黄体ホルモンによって子宮内膜が着床にふさわしい状態になっているのです。

●子宮内膜が厚くならない
子宮内膜が十分に厚くならないと受精卵はうまく着床することができません。子宮内膜が厚くならないのは、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌が悪いことが考えられます。
血液検査でホルモン分泌量が少ないことがわかった場合は、必要なホルモンを補充することによって子宮内膜を厚くさせることができます。 なかには以前に受けた中絶の掻爬手術の後遺症で子宮内膜が薄くなり、着床障害を起こしているケースもあります。

●子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症
子宮筋腫は子宮の筋層にできる良性の腫瘍で、以前は40代以降の女性にできることが多かったのですが、最近では20代、30代でできることも少なくありません。
筋腫はできる場所が問題です。とくに不妊の原因となりやすいのが粘膜下筋腫と呼ばれるタイプです。大きくなると子宮内腔に飛び出してくるため、着床障害が起こるだけでなく、うまく着床できても胎児の成長を邪魔して流産や早産の原因になります。
そのほかのタイプの子宮筋腫も、大きさや数によっては着床障害になる場合もあるため、医師と相談しながら対処してください。
子宮内膜ポリープも数が多かったり、できた場所や数によっては着床をさまたげるので、子宮鏡検査でポリープがあることがわかった場合は切除すると安心です。
子宮腺筋症は子宮内膜症の一種で、子宮の筋層にできた内膜組織によって子宮の筋層が厚く固くなり、着床障害の原因となります。

●子宮の奇形
先天的に子宮のかたちに異常があると、妊娠がむずかしくなる場合があります。奇形の形状はさまざまで、手術で治せるものもあります。

●子宮の発育不全
患者さんの中には、「別の病院で子宮の発育がわるいと言われたのですが妊娠できますか?」と不安そうに質問する人がいます。確かに超音波検査をすると子宮の発育が未熟と思われる場合があります。
こういう人は卵巣の機能もあまりよくないことが多く、排卵機能を高めるホルモン剤の投与などによって卵巣や子宮の状態を改善し、排卵に合わせたタイミング法で自然妊娠できることもありますが、症例によってはむずかしいこともあります。

男性の不妊原因

男性の不妊原因は大きく次の3つに分けることができます。

① 精子の数が少ない、動きが悪い
② 精子に異常はないが、精路にトラブルがある
③ 勃起、射精ができない

男性の造精機能は精神的、心理的な作用も受けやすく、精子の状態は一定ではありません。勃起や射精ができない場合も、生理的原因と心理的原因とが考えられます。
WHO(世界保健機構)による正常な精液の基準は、1回の射精量が2ml以上で、1ml中の精子の数は2000万以上となっています。精子は数だけでなく、動きがよいことが重要で、運動率50%以上(動いている精子が50%以上ある)、奇形精子の割合は30%以下が正常とされています。
精液検査では、精子の数、動き、奇形率を調べることができます。ただし、その日の体調や心理状態によって大きく変化するので、検査結果が悪い場合でも1回で判断せず、2回、3回と調べます。
精液中に精子がまったく見られない場合は「無精子症」、精子の数が少ない場合は「乏精子症」、精子の動きが悪く、受精がむずかしいと考えられる場合は「精子無力症」、奇形の精子(しっぽがない、曲がっている、頭のかたちが異常など)が多い場合は「精子奇形症」と診断されます。

精子の数が少ない、動きが悪い

「無精子症」や「乏精子症」の原因としては、精索静脈瘤、停留精巣(停留睾丸)、ホルモン分泌の異常、泌尿器の感染症、染色体異常(クラインフェラー症候群)などが考えられます。
ストレスや疲労などによっても造精機能は低下します。そのため、精液検査のたびに精子数や運動率は大きく変化するのです。病的な原因がない場合は、体調を整えることによって正常な造精機能を取り戻すことも可能です。
また、高血圧や糖尿病、肝臓病などの内科的疾患がある場合も精子の状態が悪くなることがわかっています。
比較的多く見られる精索静脈瘤は、精巣や精巣上体の静脈に静脈瘤ができて血液の逆流やうっ血が起こり、精巣内の温度が上がって造精機能が悪くなる疾患です。
精索静脈瘤が大きくなると、陰嚢の表面に血管が浮き出て見えるようになります。痛みは感じません。静脈の一部をしばり、血液の逆流が起こらないようにする手術で治すことができる場合もありますが、長期間、精索静脈瘤の状態が続いていると精巣が萎縮してしまうこともあるため、改善がむずかしいこともあります。

精路にトラブルがある

精巣では正常な精子がつくられているにもかかわらず、精液中の精子の数が少なかったり、動きが悪い場合は、精路の途中になんらかのトラブルがあることが推測されます。
精巣でつくられた精子は、精巣上体(副睾丸)にいったん蓄えられ、この間に受精可能な精子として成熟します。射精直前に精管、精嚢を通って尿道へ入り、ペニス先端の尿道口から射精されます。
精巣上体炎や前立腺炎、尿道炎など精路に炎症が起こる病気になると、精液の中に細菌や白血球が増え、精子が減少し、動きが悪くなってしまいます。また、炎症がおさまった後、その部分に癒着が起こり、精子の通過障害が起こることも少なくありません。
幼少時に鼠径ヘルニアを受けた人は、手術の際に精管を誤って切断したり、しばってしまっていることもあります。
あるいは避妊のために精路を遮断する手術(パイプカット)を受けた人が、赤ちゃんを希望して来院するケースでは、精管吻合術で再生することができます。
射精のとき、精液が膀胱の中に流れてしまい、ペニスから射精されない状態は「逆行性射精」と呼びます。泌尿器や下腹部の手術の後遺症だったり、糖尿病の合併症でも起こりますが、まったく原因不明の場合もあります。
ごくまれに先天的に精管が閉塞しているケースもあります。

勃起不全(ED)、性行為ができない

最近、なにかと話題になる勃起不全(ED)も、赤ちゃんが欲しいカップルにとっては深刻な問題です。
まったく勃起しない、勃起しても持続せず、射精ができないなど、EDの程度はさまざまですが、心因性の原因と身体性の原因とが考えられます。
心因性とは、緊張しすぎたり、過去にうまくいかなかった体験から自信喪失しているケースです。あるいは仕事上のストレスや過労などによってセックスをする気が起こらないため、勃起しないということもあります。
身体性の原因とは、糖尿病や高血圧、肝臓病などの内科的な病気が関係しています。このような場合は、まず病気の治療に取り組み、体調の回復にともなって正常な性生活ができるようになる可能性もあると思います。
勃起はするけれども、女性との性交で射精できないという人もいます。マスタベーションでは射精できるというケースです。マスタベーションのほうが、自分の好みの刺激が得られるため射精しやすいと考えられます。
また、膣内にきちんとペニスを挿入する前に射精してしまう早漏の場合も、十分な量の精液を送りこめないために妊娠がむずかしくなります。

男性・女性ふたりの原因

愛し合っているふたりなのに、なぜか赤ちゃんができない。その理由は二人の性的な相性がわるい場合もあります。こう書くと、「そんなことはない。ふたりのセックスの相性はいいんです」と反論されてしまいそうですが、じつは免疫的に合わないことがあるのです。 このような場合も治療の方法はありますし、治療の結果、赤ちゃんが生まれたカップルもたくさんいます。ここでは「なるほど、こんなこともあるのか」と知っておいていただけたらと思います。

抗精子抗体

私たちのからだは、自分の体内でつくられたもの以外は「異物」とみなして攻撃し、拒絶、排除するしくみが備わっています。このしくみを「免疫」、あるいは「免疫反応」と呼びます。
ただし、精子は例外です。精子は本来、女性のからだにとっては異物であるにもかかわらず、大歓迎で迎えられます。妊娠・出産することが人間の生命活動においていかに重要なことかを示しているといえるでしょう。精子を拒絶しては妊娠できず、子孫を残すことでできないからです。ところが残念なことに、パートナーの精子を異物とみなして拒絶してしまう場合があります。
免疫反応で異物をブロックするために体内でつくられる「抗体」が、精子に対してもつくられてしまうのです。精子に対する抗体であるため「抗精子抗体」と呼ばれます。
女性の体内でいったん抗精子抗体がつくられてしまうと、同じ精子が入ってくるたびに子宮の入り口(子宮頸管)でブロックしてしまうため、精子は受精の場である卵管まで行くことがむずかしくなります。
抗体の程度にも強弱があり、あまり強い抗体でない場合は、排卵日以外にはコンドームを使って精子が女性のからだに触れないようにすれば、抗体のパワーがそれ以上強くなるのを防ぐことができます。そして男性は十分に元気な精子をつくることを心がけ、排卵日にタイミングを合わせて性交することにより、妊娠できることもあります。
抗体のパワーが強く、どうしても精子が子宮内に入れない場合は、卵管の入り口まで精子を送り届ける人工授精や、抗体の影響を受けない体外受精の方法を考えます。

ふたりとも原因が見つからない

女性、男性ともにいろいろな検査をして調べても、不妊の原因がまったく見つからない場合もあります。あるいは何らかの原因が見つかり、きちんと治療を行ない、症状が改善したにもかかわらず、なぜか妊娠しない。そういうこともあります。
ご本人たちもつらいでしょうが、医師の私たちも「これで妊娠してもいいはずなのに、どうしてだろう?」と頭をかかえてしまいます。
このようなケースを「原因不明不妊」あるいは「機能性不妊」と呼びます。最近は検査の精度も向上し、新しい検査方法も開発されているので原因の解明は以前よりも格段に進んでいるのですが、それでも「原因がわからない不妊カップル」は15~20%ほどいるのが実情です。
原因が特定できず、自然妊娠も人工授精での妊娠もできないときは、体外受精や顕微授精によって妊娠、出産できる可能性もありますが、残念ながら100%ではありません。私たちの生殖機能はまだまだ神秘のベールを脱いでくれないのです。

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